【速読の限界】知らないと損する読書の基礎!遅読のススメ

どうも!うたまるです。

本を読むとき、速くたくさん読めることがコスパがいいと思ってませんか?
じつはこの考え、間違っています。

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\この記事は以下の人にオススメ/

  • 教養を身につけるための読書を目的にする人
  • 古典や論文、学問書を読む人
  • 最適な読書ペースがつかめてない人
  • これから読書に挑戦する人


一念発起し本を読み出して四年、ぼくは年間1200時間を読書に捧げ、これまでに速読や遅読、斜め読みなどさまざまな読書法を試してきました。
そんな経験と実践から、ここでは知らないと損をする速読に関する誤解を紐解き、効果的な読書のやり方を解説してゆきます。

この記事を読めば、読書の目的にそくした最適な読書ペースをつかむことができるようになります。
また読書の質を上げ、読書に関する価値観をアップデートすることも可能です。

※読書方法には多様な考え方があり、この記事は実体験や出版業界の情勢などに基づく、ぼくの個人的な意見になります。なので、さまざまな意見のうちの一つとして参考にしてもらえれば幸いです。

速読にむく読書と速読をしてはいけない読書

速読がもてはやされて久しいですが、じつは速読がむいている読書というのは限られています。

速読に向いている読書というのは、雑学やハウツーのような単純知識を暗記したいときや、本の内容の一部だけを知りたいとき、既に本の内容について熟知している場合などに限られます。

本の種類でいうとハウツー本や同じことの繰り返しが多いビジネス書や自己啓発書、単純暗記ものの資格試験の本などは比較的に速読するのに適しているわけです。

対して速読をすべきでない読書というのは、教養を身につけることが目的の読書学問的な理解を深めるための読書深い思考力を養うための読書になります。

本の種類でいうと、人文知などの古典哲学書、物理学や数学、心理学などの学問書になります。

そもそも速読には限界があり、たとえば物理学を学ぼうという初学者が、アインシュタインの相対性理論の論文やその解説書をいきなり速読することは不可能です。そんな方法は存在しません。

速読できる本とは、既に知っている内容であるか、平易でカスカスの内容の本や深く考えることに意味がないハウツー本などに限られるわけです。

もし速読すべきでない本を速読したならば理解は浅くなり、せっかくの読書体験は薄まってしまいます。
さらに速読にこだわると読んだということで自己満足にひたり、ただ読んだ本の数を増やすことだけが目的の本末転倒な読書に陥ってしまいます。

一日に10冊読もうが100冊読もうが、浅はかで聞きかじったことしかいえず、理解も浅いのであれば、本を読んでいる意味がありません。

逆に本を読まなくても深い知識を得ることができて、ハイレベルな考察や分析をする能力を養えるというのであれば、必ずしも本を読む必要はないでしょう。読書そのものは目的ではなく手段に過ぎません。

速読は数への執着を生み出し、本を読むために本を読むという、無意味な衝動へ人々を駆り立てるおそれもあるでしょう。
そうなれば読書はお金と時間の無駄であり人生の損失に他なりません。

もし自己成長や思考力の強化を目的とするのであれば速読できない本を読むべきです。

遅読の効果と注意点

では最適な読む速度とはどの程度でしょうか?
これは読む本や目的によって全くことなりますが、基本的には、自分が詳しくない分野の理論について書かれている本を読むときにはとても時間がかかります

また難解な哲学などの本はある程度知っていても速く読めるようなものではありませんし、速く読むことに意味がありません。

具体的な読書のペースを紹介すると、ぼくの場合、毎日3時間を読書についやして、1冊読むのに一ヶ月以上かかるということもあります

難解な本を無理に速く読むという実験をしたこともありますが、やはりじっくり読んだ方が圧倒的に理解の深さに差が出るのです。

僕はこれまでに一ヶ月に10冊読める本を10冊読んだ場合と、1冊読むのが精一杯の本を1冊読んだ場合を比較したことがあります。
その結果、1冊の本を一ヶ月かけて読んだ場合の方が10冊を読むよりも、はるかに思考力や理解力の成長につながりました

つまり喩えるならば、読書とは筋トレのようなもので、軽いダンベルを何回持ち上げても筋肉が増えないのと同じです。読書も筋トレも鍛えて能力を高めるということを目的とするのであれば、しっかりとハードな難易度、重たい重量をあつかわねばなりません。

難しい本の内容は、物事の根本的な見方に影響し世界観を変える力があるので、1冊を理解するだけで、その後に読む本の理解の仕方まで根本的に変わるということも珍しくないのです。簡単な本を何冊読んでもこうしたことは起こりません。

ところで一ヶ月に1冊読むのが精一杯の本を読むということは一ヶ月間、本とギリギリの戦いをしているようなもので頭はフル回転の状態になります。なので一月1冊の読書は一ヶ月に10冊を読むよりも遙かに辛い読書であるともいえます。

しかし楽して賢くなることはできません。やはり頭を酷使するからこそ、脳は鍛えられます。筋トレも読書も根っこは同じなのです。

この辛さにこそ遅読の効果があり、遅読はつらいからこそ効果があるわけです。

ただし、遅読には注意点があります。いくらハードな本が効果があるからといって自分の実力にあっていない本を読んでも意味がありませんほとんど内容を理解できないような本を読んでも無意味なのでそこは気をつけたいところです。

最適な読書のペース

遅読といってもどのくらいのペースで読めばいいのでしょうか?

最適な読書ペースをつかむには、何回か読む速度を変更して実際に試すといいでしょう。僕は同じくらいの難易度の本を月3冊読んでいた頃に、実験的に月5冊ペースに変えたら、一気に読書の質が下がったことがあります。

数に執着して月に○冊以上読むというような無意味な目標を捨てて質を追求した読書を続ければ、自ずと自分にとっての最適なペースをつかむことができるはずです。

僕の場合はラカンやユングなどの深層心理学といわれる比較的に難解な論文を読むことが多いので、ペースを落とし、現在は月2冊平均程度の遅い読書を実践しています。

比較的に暗記要素の強い歴史書を読まれる人などはもっと速いペースが最適になるかもしれません。最適なペースはどのジャンルのどの本を読むや個人の理解レベルで変わります。

速読がもてはやされる背景

なぜ学問書などは遅読が基礎であるにもかかわらず、速読ブームや多読自慢は近年増加しているのでしょうか?

その理由には、低迷する出版業界の思惑書籍紹介系のアフィリエイターの存在オンラインサロンのメンターによるセルフブランディングの影響があります。順番に説明してゆきましょう。

まず、出版業界についてはInstagramや動画サイトの普及もあり、若者の活字離れが深刻化し読書人口が急激に減少し続けています。

文化庁による平成 25 年度「国語に関する世論調査」によれば、平成17年では読書をしない人の割合は37.6%だったのが、平成25年では47.5%と増加しています。
読書人口はわずか8年で激減しているのが分かります。

このような厳しい状態に置かれる出版社にとって、速読や多読の普及は安定的な需要を生み出し、収益を維持する上で、欠かすことができない販売促進手法であると考えられます。

こうした背景をかんがみると速読や多読を無批判に持ち上げて過度に布教する書籍の多さには疑問をかんじるわけです。

また昨今はブロガーなどによる書籍のアフィリエイトなども普及しています。
そのため有名どころの書籍ブロガーは、決まってビジネス書や自己啓発本などの内容が薄く簡単で多読しやすい本を紹介しているのが現状です。

とくに書籍専門のアフィリエイトブロガーは本をブログ内で紹介して収益を得ているので、すぐに読めて内容の薄い本を宣伝したほうがコスパよく稼げると推理できます。

なぜなら本を紹介するとなるとできれば自分で読んだ方がよいうえに、多くの人にすすめるとなれば専門性が低く誰でも簡単に読める中身のない本がいいからです。

またこうしたブロガーは、年間に数百、数千冊を読むなどの多読自慢をする傾向にあります。
これは読書をしようという人たちに、速読や多読というスタイルをふきこみ、正しい読書=多読という印象操作をおこなって、効率よく金儲けしようという可能性があるのではないでしょうか?

じっさいに自己啓発書やビジネス書を読んでうまくいくことは少なく、こうした書籍の多くは情弱ビジネスと言われることも少なくありません。もちろんビジネス書や自己啓発書でも中には良書はありますが、その数は少ないでしょう。

ビジネス書の書評専門家である堀元見によるビジネス書評論の動画、この動画を見るとビジネス書に中身がないものが比較的に多いことが分かるかとおもいます。

一部のオンラインサロンメンターや一部の書籍ブロガーによる多読自慢は、まともに学術書を読んでいる人間からしたら、何の意味もないことです。

それどころか日に20冊も読めるようなカスカスの本を読んでるということは馬鹿な人なのか?という疑念がでてきたりします。

もしフォンノイマンやニーチェが多読自慢をしていたらどうでしょうか?明らかに、残念ではないでしょうか?

たしかに学者が論文を書く都合で、引用する論文を探したり先行研究をあたったりするために多読や速読をするということはありますが、それは知性とは関係なく学問の世界では評価になりません。

したがって多読自慢を真に受けてしまう人たちは、もしかしたら騙されやすい傾向にあるのかもしれません。

そして、このような傾向の人をカモとしてターゲッティングすることで、一部の書籍ブロガーなどは効率よくアフィリエイトでもうけるというスキームを組んでいる可能性が考えらます。


遅読の効果の証明

ここまでで速読や多読の問題点を解説し、遅読の魅力を紹介してきましたが、そういうお前は、遅読で具体的にどうなったんだよ、と思われる方もいるでしょう。

遅読をすすめている人が、カスカスのアホなことしか考察できず、思考力0では全く信憑性がない記事ということになります。

というわけで僕の実力を具体的に示します。

以下のYouTubeの動画は、僕が趣味で投稿したもので、深層心理学の本を読み、その専門知識をいかして物語分析や社会考察をしているものです。
心理学を全く知らない人にも分かるようなやさしい動画にしています。この動画は読書1~2年目の動画です。

ぼくは、もともと工学部卒で人文知を全く知らない状態から月二冊ほどの読書をはじめたので、人文知や心理学の知識は全て遅読による独学で身につけたものです。

※人により向き不向きがあるため全ての人が遅読で効果を体感するとはかぎりません。しかし少なくとも一日に何十冊も読む読書をするよりは遅読のがいいのではないかと思います。

まとめ

これまでの話をまとめます。

  1. 速読が向くのはハウツー本やビジネス書などであり、深く考えない読書
  2. 遅読が向くのは古典、学問書などであり、思考力を鍛え教養を身につける読書
  3. 思考力向上のための読書は筋トレと同じ、遅読は辛いからこそ効果絶大
  4. 最適な読書ペースは実際に試して発見してゆく
  5. 速読がもてはやされているのは出版業界や書籍ブロガーの思惑も一因


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