【ネタバレレビュー】『FF7リメイク』フィーラーに関する一考察

FF7Rのプレイ画面画像

どうも!うたまるです。

本作はクリエイターの葛藤がそのまま作中に落とし込まれた特殊な作品。そんな『ファイナルファンタジー7リメイク』の魅力を明らかにします。

【99点】本当に最高傑作のゲームです。

ファイナルファンタジーVII リメイクとは

スクエニ公式トレーラー

FF7リメイクは旧作FF7を三分割した作品の第一作。
旧作の序盤にあたるミッドガルからの脱出までを扱った作品。

作品名FF7R
ハードPS4
PS5
Windows
発売日2020年4月10日(PS4)
2021年6月10日(PS5)

FF7リメイクとファンの関係

FF7は1997年発売と歴史も古く、歴代FFでも最高傑作とされPS2の時代からリメイクを望む声は後をたたず。
万人に愛されかつカルト的なファンも多く、宮崎駿と押井守を足して二で割ったようなモンスター作品です。

したがってファン層も世代をまたぎ、そのストーリーにノスタルジーを抱くファンにとって特別な作品。
そのリメイクにあっては、思い出にふけり過去作の忠実なトレースを要求するファンが一定数いるのは確実です。

しかし、もし過去作を忠実にトレースしただけのセルフコピーをつくれば、それはクリエイターの敗北でもあります。

常に新しいものを、というあくなき創造への探求こそFF7という作品が持つ魂だからです。

スチームパンクとサイバーパンクの融合した全く斬新なFF7の世界観からもそのことがうかがい知れます。

したがってリメイクにあっては、ノスタルジーに浸るファンの要望とクリエイターの創造性との軋轢がクリエイターに葛藤を生じたはずです。
また満を持してのリメイクはファンからのハードルも高く期待に超えるだけでも難しい。

旧作とリメイクとの違い

新羅カンパニーのグラフィック画像
新羅カンパニー

グラフィックは非常に満足度が高くかつてのポリゴン都市がここまでになるかという驚きがあり多くのプレイヤーを満足させました。

しかし特筆すべき旧作との最大の違いはバトルシステムとストーリーです。

バトルシステムは臨場感の高いアクション要素が取り入れられ、自由度が増し、作品への没入感を高めてくれます。キャラクターを切り替えて戦うことができ、戦略性の幅もひろく非常に完成された革新的システムだといえます。

バトルの画像
バトルの画像


このバトルシステムは多くのプレイヤーの期待を超えるものでした。

フィーラーの正体とシナリオ改編を解説

フィーラー登場シーンの画像
フィーラーの登場シーン

旧作と異なるストーリー展開になりそうになると運命の万人「フィーラー」という旧作にはない未知の敵が立ち塞がります。

フィーラーは作中で「運命の流れを変えようとする者の前に現れ行動を修正する」存在と言われます。

このことからフィーラーはリメイクを待ち望む旧作ファンのメタファーとして見ることができます。
フィーラーは、旧作を忠実に再現した作品を望みクリエイターの創造性を殺すファンのノスタルジーの亡霊かもしれません。

また登場人物たちが旧作の記憶を無意識ながら持っているような演出が多用されます。

これにより、旧作ファンであるプレイヤーの心理(旧作の記憶)が登場人物の記憶とシンクロしプレイヤーの感情移入が高まります。

総論:FF7Rが歴史的名作である根拠

本作は、クリエイターにとって非常に葛藤的な作品。むしろその葛藤を軸にしてストーリーが構成された点に本作の最大の特徴があります。

以下、クリエイターの葛藤と本作の関連の要諦、評論文。

旧作FF7を忠実にコピーすれば、FF7の魂であるクリエイティビティは喪失しリメイクは形骸に。かといって物語を改編すれば、FF7ではなくなりリメイクとして作る意味が喪失する。

したがって本作のもっとも特筆すべきは、リメイクとして抱えるアンチノミー(葛藤)を乗り越えた点

つまり旧作のストーリー全体をフィーラーを通して作中に入れ込み物語をメタ構造化(入れ子化)することで見事にリメイクである必然性をもったまま新しいストーリーを実現した点にある。

本作は、旧作の物語の記憶を主人公たちが無意識裏に内省することで新しいストーリーへと分岐。これにより、通常は不可能なリメイクである必然性新しいストーリーの創造(旧作の魂の継承)の両立を実現する。

ゆえに本作にとってストーリーのメタ構造化はアンチノミー(葛藤)に対する唯一の完璧な解決策である。

クリエイターが抱えるリメイクへの葛藤がそのままフィーラーと主人公との対決に象徴され、その対決がファンの屈折した心理をも巻き込み、弁証法的に展開してゆくシナリオは圧巻といわねばならない。

まさにゲーム史に語り継がれるべき偉業だろう。

また非常にうまいのがフィーラーを敵として厄介な妨害キャラにしている点フィーラーはファンの保守的ノスタルジーの象徴であり、これをプレイヤーにとって邪魔な敵キャラとしファンに退治させる構図には、感心せざるえない。

フィーラー退治は思い出に閉じこもり、閉塞したファンの魂をも解放してくれる

またクリエイターが、ファンのノスタルジーのためFF7をリメイクさせられるにあたり、FF7とは何なのか?という問いを煮詰めたのは言うにおよばず。

そんなFF7のストーリーを問い、葛藤する姿勢がそのまま作中に入れ込まれた本作において、旧作の記憶を内省(フラッシュバック)しフィーラーと対決する主人公たちは真にクリエイターの分身である。

またその分身である主人公の活躍を通じ、クリエイターのあるべきを問うた本作は、ゲームこそ、退廃した現代にあって真に芸術と文化の担い手たることを証しているといっても過言ではない。

いずれにせよノスタルジーに迎合するでもなく、独善的創造性を押しつけるでもない、ファンとクリエイターを架橋する第三の経路を切り開いた本作の挑戦は賞賛に値するだろう。

われわれファンがこのようなクリエイティブな仕事を全うに評価しないわけにはいくまい。

不満点

おしむらくはゲームボリュームです。やはり序盤のミッドガルパートだけなので、ゲームボリュームの水増しが散見されます。

この点で減点して99点です。

ところで評論では100点などつけてはいけません。

ぼくたちゲーマーがゲームに熱中できるのは、つねにゲームに欠如があるからです。ゲームは完璧とのズレ、わずかな不満によってプレーヤーを熱中させます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました